避妊をご希望の方へ
避妊には、さまざまな方法があります。
もっとも普及しているのは、コンドームによる避妊です。
当院では、低用量ピルの処方、子宮内避妊器具の使用、避妊手術などを行っております。また、緊急時には、アフターピルも処方いたします。
子宮内避妊器具の使用や避妊手術は、極めて高い避妊効果が期待できますが、やはりデメリットもあります。大切なのは、ご自身に合った避妊方法を知ることです。
また、望まない妊娠は、女性にとって心身の負担があまりにも大きく、経済的問題で深くお悩みになる方もいらっしゃいます。パートナーとしっかり話し合い、お互いが理解し合える避妊方法を選択しましょう。
近藤産婦人科医院では、「どんな避妊方法があるのか、よく知らない」「自分たちにどの避妊方法が合っているのか分からない」「ちゃんと避妊できているのか心配…」という方に向けた「避妊相談」を行っております。
避妊方法について
コンドーム
主に男性のペニスに装着し、精子を受け止め、避妊します。ペニス挿入の前から正しく装着できていれば、高い避妊率を誇ります。ただ、装着前に性器が触れ合っていたり、コンドームが破れたり、外れたりすることで、避妊に失敗する可能性はあります。
女性用コンドームは、女性の膣に装着し、精子の侵入を防ぎます。女性用コンドームが男性用コンドームと大きく異なるのは、女性側に避妊のコントロール権があるという点です。こちらも、正しく使用すれば、高い避妊効果が得られます。
低用量ピル
エストロゲンとプロゲステロンの混合剤の内服により、排卵を抑制し、避妊します。
正しい服用方法をとれば、避妊の失敗率は0.03%まで抑えられます。メリットはその避妊率と、挿入時の快感が損なわれない点です。また、副効用として、月経痛の軽減も期待できます。
デメリットとして挙げられるのは、コンドームと違い性感染症の予防にはならないこと、気分が悪くなったり、乳房の張り、頭痛、むくみなどの副作用が現れることがある点です。ただ、副作用を感じない方、また最初は感じても次第に消失していく方も多く、特にコンドームと併用することでさらに避妊の成功率は高まりますので、非常にメリットの多い選択肢と言えます。
肥満の方、喫煙習慣のある方は、低用量ピルの服用により血栓症のリスクが高まりますので、あまりお勧めできません。
アフターピル
コンドームが破れた/外れた、低用量ピルを3日以上服用し忘れている、レイプ、その他妊娠の可能性が生じた際に服用することで、排卵を遅らせ、妊娠を回避するピルを「アフターピル」と呼びます。「モーニングアフターピル」「緊急避妊薬」とも呼ばれます。
服用するのであれば早ければ早いほど効果は高く、72時間以内に服用すれば80%以上の確率で妊娠を回避できるとされています。ただ、あくまで緊急時に服用するものですので、服用を見越した性行為などは行わないでください。身体に大きな負担をかけることになります。
子宮内避妊器具
子宮内に留置し、妊娠を回避する器具です。「避妊リング」とも呼ばれます。避妊効果は99%以上で、その効果は数年間続きます。
ただし、月経量の増加、月経期間が長くなる、不正出血が起こるなどの症状が現れた場合には、使用を中止(抜去)しなくてはならないこともあります。
挿入時の快感が損なわれることがない一方、性感染症の予防にはなりませんので、その点も注意が必要です。
避妊手術
卵管結紮法による避妊手術を行うこともできます。
卵子の通り道である卵管を切除します。受精卵ができないようになり、たとえ受精卵ができたとしても子宮まで到達することはできません。
避妊効果は極めて高いのですが、確率がゼロというわけではありません。避妊手術を受けた女性が、10年以内に妊娠する確率が2%ほどあるという報告もされています。また、手術後にやはり子供がほしいと妊娠を希望されたとき、元に戻すのは非常に困難です。体外受精などの方法を検討する必要があります。
挿入時の快感が損なわれることがない一方、性感染症の予防にはなりませんので、その点も注意が必要です。
避妊に関するよくある質問
自分にあった避妊法が何なのか分かりません。
コンドーム、ピル、子宮内避妊器具、避妊手術など、いずれも一定以上の避妊効果はありますが、完全な100%ではありません。
また、それぞれのメリット・デメリットが存在します。それぞれの避妊法の特性を知り、パートナーとも話し合い、自分たちにとっての正しい選択をすることが大切です。
ただ、身体の健康状態やライフスタイル、過去の病歴なども考慮する必要がありますので、一度当院までご相談ください。
避妊のことをお医者さんに相談してもいいのですか?
はい、もちろんです。
避妊法にはさまざまあり、いずれもメリットとデメリットが存在します。また、二つの避妊法を組み合わせることで、より妊娠の確率を下げることも可能です。
健康状態、ライフスタイル、過去の病歴などを考慮した上での避妊方法を選択ができる、産婦人科医へのご相談をお勧めします。
近藤産婦人科医院では、各避妊方法の正しい情報をお伝えし、アドバイスを行う「避妊相談」を実施しておりますので、お気軽にご相談ください。
安全日って、本当に安全なんですか?
生理直前や生理直後を「安全日」と呼ぶこともありますが、これらはあくまで「妊娠しにくい時期」であり、妊娠しないわけではありません。
突然月経周期が早くなったり遅れたりすることは珍しくありませんので、「安全日だと思っていたら実際は危険日だった」ということも起こり得るでしょう。
妊娠を希望していないカップルが、安全日を選んで性行為に及ぶことは、妊娠の確率を下げるためには有効です。ただしそれはあくまで避妊をした上でのことです。
妊娠を希望していないにも関わらず、安全日だからといって避妊をしないことは、お二人、そしてお二人のご家族、誕生するかもしれない胎児にとって、大きなリスクを伴う行為であることを忘れないでください。
ピルを飲むと、太るときいたのですが本当ですか?
それは昔のピルのことで、現在はそのようなことはありません。
ピルを飲むと、妊娠しにくくなるときいたのですが本当ですか?
いいえ、間違いです。ピルを飲んで妊娠しにくくなることはありません。妊娠を希望される方でピルの服用を中止した場合、ほとんどの方は3~4か月で月経が回復します。なお、妊娠そのものは、服用中止直後から可能です。
ピルを飲んで、副作用が現れることはありますか?
ピルの服用により、体内のホルモンのバランスが変化します。身体が慣れるまで吐き気などの副作用が現れることもありますが、ほとんどのケースで、1~2か月以内に症状が消失します。
ピルを飲めば、コンドームは必要なくなりますか?
コンドームを使用せず、ピルの服用のみで避妊に取り組む方は多くいらっしゃいます。ただ、より避妊の成功率を高めるためには、コンドームも併せて使用することが望ましいでしょう。
また、ピルには性感染症の予防効果はありませんので、その点も注意が必要です。
子供への授乳期間中は、ピルを飲めますか?
授乳期間中の方は、ピルの服用ができません。母乳の質や量の低下が見られることに加え、お乳を通して赤ちゃんに薬剤の成分が移行されるという調査結果が報告されています。
ピルを飲んだら、がんになりやすいとききました。
確かに、ピルの服用により、子宮頸がんのリスクがわずかに上昇すると言われています。ただ一方で、子宮体がん、卵巣がんのリスクは低下します。
総合的に考えると、がん全体へのリスクの心配は不要と考えて差し支えありません。
コンドームはペニスを挿入する直前につければいいのですか?
いいえ、コンドームは、性行為の初めに、ペニスが勃起したらできるだけ早く装着してください。
射精に至る前でも、精液が少し出ていることがあります。同様の理由で、コンドームを装着せずにペニスを挿入し、射精の瞬間だけペニスを抜いても、妊娠する可能性は十分にあります。
コンド-ムが破れたり、外れたりすることはありますか?
サイズが合っていなかったり、装着方法が正しくなかったり、空気が入ってしまったときなど、破れたり、外れたりすることがあります。
コンドームの種類によって装着方法が多少異なりますので、購入後、説明書で使用方法を確認しましょう。
また、コンドームを二重にして使用しないでください。逆に破れる可能性が高まります。
IUSやIUDってどんなものですか?
いずれも、子宮内避妊器具の1種で、「避妊リング」などとも呼ばれます。
IUDは、銅イオンを少しずつ放出する器具です。子宮内に挿入・装着し、受精卵の着床を防ぎます。IUSも同様に子宮内に挿入・装着する器具で、こちらは黄体ホルモンを放出します。いずれも、数年間の高い避妊効果が得られます。出産経験のある方にお勧めの避妊方法です。
IUSやIUDって、自分で装着できますか?
子宮内に装着するものですので、ご自身ではできません。婦人科などで、医師に装着してもらってください。
避妊手術って、どんな手術ですか?
女性の場合、「卵管結紮法」と呼ばれる手術で行われます。卵子の通り道である卵管を切断することで、受精卵ができないようになり、たとえ受精卵ができたとしても、子宮まで到達することはできません。
避妊手術を受けたあと、子供がほしくなったら元の状態に戻せますか?
卵管をもとに戻す手術は存在しますが、難しい手術になります。卵管の機能が回復しない(妊娠できない)ことは珍しくありません。